部分社会の法理から来る司法権の限界

kansou

 

地方議会や大学、労働組合など一般社会の中で独自の自律的な規範を持つ部分社会では、その内部における紛争については司法による審査の対象とはならないという考え方があります。代表的な事例として富山大学における単位不認定に関する裁判が挙げられますが、その判決の中で裁判所は、自律的な規範を有する特殊な社会における法律的な紛争が司法審査の対象となるかどうかについて、一般市民が暮らす社会の法秩序と直接的な関係があるかどうかが決め手になるとしているのです。

 
この法理論によれば、自律的な規範を有する社会においてその内部の規範に基づいて問題を解決することは、個人やその組織に対する外部権力の介入を阻止することにつながり、結果として個人の人権およびその組織の自主性を維持することになるとされ、その社会から抜け出せば、一般社会の法秩序に基づき司法審査の対象として裁判をすることができることから、人権についても保障されていることになります。

 
ただしこの理論に対しては、外部の介入を許さない特殊性を持つ社会内部での人権制約につながりかねないという懸念や、個人の権利より団体の利益が優先されるといった批判なども根強く、この理論を一律に適用するのではなく、ケースバイケースで対応すべきだという意見もあります。